東北6県プラスαの観光記事を手掛けて幾星霜。
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とうほく Diary
秋の食
仙台市/「仙台せり鍋」でせりをまるごと根まで味わう
2022/11/01
せり農家と小料理店がタッグを組んで生み出したグルメ
頬をなでる北風が少しずつ冷たくなり、冬の気配が漂いはじめた今日このごろ。湯気立ちのぼるあたたかいお鍋はいかがですか? 今回ご紹介するのは、“仙台の味”として人気を博している、鍋料理のご紹介です。
根付きのせりをダシの効いたつゆに放ち、軽く火が通ったタイミングで食す「仙台せり鍋」。シャキっとした歯ごたえを残したせりの香り、そしてせり根の意外な美味しさに驚かされる、当地の秋の風物詩です。ただひとつ「根付きのせりを鍋で食す」こと以外、具やダシの食材に決まりはありません。昆布ダシのみでシンプルに、鶏や鴨などの具材をたっぷりぜいたくに入れるなど、提供店ではそれぞれ工夫を凝らして供しています。
実はこのせり鍋、ここ十数年ほどで広まった比較的新しい郷土料理であることは、意外と知られていないのではないでしょうか。仕掛け人は、仙台せりの一大産地である名取市のせり農家。「きれいな水で健やかに育てた仙台せりは根まで美味しく食べられる。その味をもっと多くの人に知ってもらえれば」という思いで、仙台市内の小料理店の親方に相談を持ちかけました。そうして誕生したのがこの「仙台せり鍋」です。
くつくつとつゆを煮立たせて、そこへ根なら十数秒、葉なら数秒ほどくぐらせればもう食べ頃。シンプルな料理なのに、山盛りのせりもあっという間に平らげてしまいます。火を通すことで和らいだ、せり独特の香味が口いっぱいに広がり、心地よい歯ごたえと相まってついつい箸が進みます。
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今回のライター
ライター
吉田 美奈子