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とうほく Diary
秋の食
青森市/冬場、船客たちの体をあたためた「生姜味噌おでん」のあたたかさ
2022/11/01
青函連絡船を待つ人たちの間で評判に
おでんを食すとき、みなさんは何をつけますか? 定番は和辛子でしょうか。もしくは田楽風に甘味噌をつける方もいらっしゃるかもしれません。しかし青森市では、おでんのお供は「生姜味噌」が定番。みりんと日本酒の入った甘味噌に、すりおろしたショウガを加えてたっぷりと塗った青森のおでんは、飽きのこない風味でついつい箸が進みます。今回はそんな青森市民が親しむ味を、ルーツをたどりながらご紹介します。
「生姜味噌おでん」が誕生したのは、戦後間もない頃。当時の青森駅周辺には闇市が立ち、屋台も数多く出ていました。その中のひとつがこのメニューのルーツとされています。かつて青森駅のすぐそばに青函連絡船の乗り場があり、特に冬場は寒さにかじかみながら船を待つ人たちが集っていました。そうした待ち人たちの体が少しでも暖かくなるようにと、とある店主がおでん味噌にショウガを加えてふるまったところ、その美味しさがたちまち評判になり、ほどなく他店舗にも広まっていったそうです。青函連絡船は1988年にその役目を終えましたが、当時は本州から函館に行く唯一のルートとして県内外にかかわらず大勢が利用していました。そのため口コミの威力も相当に高かったことでしょう。
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今回のライター
ライター
吉田 美奈子