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とうほく Diary
冬祭り
盛岡市/ その年の無病息災と豊年を祈願する、厳かな「裸参り」
2024/11/01
南部杜氏たちの祈願を源流とする小正月の参詣行事
身を清めた後、下帯に白い鉢巻、腰に注連縄(しめなわ)、素足に草鞋履き(わらじばき)で口に紙をくわえ、右手に幣束(へいそく)、左手に鈴を持って、身を切るような厳冬の街を練り歩く男衆。神社を目指して、手にした鈴を「シャン、シャン」と響かせながら進みゆく様子は、厳かさをたたえています。
盛岡市の「裸参り」は藩政時代から伝えられてきた無病息災、豊年を祈願する小正月の参詣行事で、その起こりは江戸時代、南部杜氏が松尾神社に祈願したことにさかのぼるとされます。「南部杜氏」とは、通称・南部藩と呼ばれる領内を出自とし、江戸初期に近江商人が南部領に持ち込んだ「すみ酒」の醸造技術を祖とした杜氏集団のこと。松尾神社は酒造の神・大山昨神(おおやまぐいのかみ)を奉るため、南部杜氏たち「今年の仕込みがうまくいくように」と祈りをささげることが習わしだったのでしょう。
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今回のライター
ライター
関東 博子