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とうほく Diary
至高の酒
青森市/原料は米と水のみ。伝統製法で手造りした“田んぼの酒”「田酒」
2023/02/01
青森の米と蔵人の手から生まれる希少なお酒
ふくよかな香りと、まろやかに広がる米の旨味。米と水だけを原料に、昔ながらの手仕込みで醸される青森の「田酒」は、日本酒通にとって垂涎の的。生産量が少なく、取り扱う店も限られているため、「幻の日本酒」とも呼ばれています。なぜ、これほど多くの人を魅了しているのか、今回はその理由をご紹介します。
「田酒」の製造元である「西田酒造店」は、明治11年に創業した青森市唯一の酒蔵です。現在は、「喜久泉」「田酒」という2つの銘柄を造っていますが、創業時に醸していたのは「喜久泉」。一般的に、大吟醸・吟醸・本醸造は、醸造アルコールなどを添加しますが、「喜久泉」は、糖類を一切使わず、醸造 アルコールも必要最低限のみに抑えたお酒。全国の鑑評会で多くの受賞歴を誇ります。
一方の「田酒」は、「日本酒の原点に帰り、風格のある本物の酒を造りたい」という思いのもと、昭和45年に開発をスタート。伝統的な完全手造りにより、約3年もの年月を費やして完成させました。原料の米には、青森県産の酒造好適米「華想い」や「華吹雪」 と、契約農家とともに復活させた“幻の米”「古城錦」を使用。洗米に始まり、蒸米や麹造り、醪の管理、 そして火入れに至るまで、すべてが手仕事です。大量生産ができないのはそのため。希少性だけでなく、奥行きのある米の旨みと豊かな香り、清らかな後味がお酒好きに愛される理由です。
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今回のライター
ライター
関東 博子